床下浸水の乾燥方法|ベタ基礎の注意と水抜き・消毒を佐倉市の現場から

床下浸水の乾燥方法|ベタ基礎の注意と水抜き・消毒を佐倉市の現場から

私たちハウジングボックスには、2026年8月の千葉豪雨と台風25号の後、「床下浸水した家の床下を、どう乾燥させればよいのか」「後からカビが出ないか心配だ」というご相談が続きました。

床下浸水の乾燥は、水抜きと泥の除去を終えてから、床下に風を送って進めます。

ただし、床下は基礎の立ち上がりで部屋ごとに区切られており、1か所から風を送るだけでは乾きにくい場所が残る構造です。

このコラムでは、当社が佐倉市内の浸水したお宅で見てきた床下の様子をもとに、床下浸水の確認方法から水抜き、ベタ基礎と布基礎の違い、消毒の考え方、カビを防ぐ送風の続け方までを紹介します。

カビやにおいのリスクを抑えながら、できるだけ費用をかけずに元の暮らしへ戻るための参考になさってください。

このコラムで分かること

  • 床下は基礎の立ち上がりで部屋ごとに区切られ、風が回りにくい構造です。1階が10坪を超える家は、乾燥口が1か所では足りず、3か所は必要です。
  • ベタ基礎は底がコンクリートのため、入った水が地面に抜けません。くみ出しと拭き取りを済ませてから送風すると、乾燥が進みます。
  • 床下の消毒は、泥の除去と乾燥を終えてから検討する工程です。厚生労働省は、床下など屋外の消毒を原則不要とし、清掃と乾燥を優先するよう示しています。
  • 床下が乾いたと言える日数の基準は、専門団体の資料にもありません。消毒と拭き掃除を重ねた家でも、浸水から1か月以上たって床の目地にカビが出た例があり、送風は見た目で止めないことが肝心です。

目次

床下浸水の乾燥は、水抜きと泥の除去を終えてから送風で進める

床下浸水の乾燥は、水抜きと泥の除去を終えてから送風で進める

床下浸水の乾燥は、水抜き・泥の除去・送風の順で進める作業です。

床下浸水は、床より上には水が来ず、床下に水が入った状態です。

消防庁の災害報告取扱要領では、全壊・半壊に該当しない場合で「床上浸水に至らない程度に浸水したもの」と定められています。

〈出典〉「災害報告取扱要領等の一部改正について(通知)」(消防庁、令和5年5月12日)消防庁ホームページ「令和5年 通知・通達」の一覧から開けます。

床上浸水した家でも、床下には同じように水と泥が入っています。

床下の乾燥は、床上浸水・床下浸水のどちらでも必要になる工程です。

床下は日が当たらず風も通りにくいため、入った水が自然には抜けにくい場所です。

水と泥が残ったままになると、カビやにおいが出やすくなり、土台や床を支える木材の傷み、シロアリの被害にもつながります。

当社でも浸水したお宅を回りながら、浸水後の床下は雑菌と水で劣悪な環境になっているため、できるだけ早く乾燥させてほしいとブログで呼びかけてきました。

〈関連ページ〉床上・床下浸水後の「床下の乾燥」について

床下浸水から復旧までの流れは、次の表のとおりです。

 

工程 やること 気を付ける点
1. 確認 床下点検口・床下収納・畳の下から、水や泥が残っていないかを見る 無理に床下へ潜らない
2. 水抜き 残った水をポンプやスポンジでくみ出す ベタ基礎は水が地面に抜けない
3. 泥と断熱材の除去 泥をかき出し、水を含んで落ちた断熱材を取り除く グラスウールは素手で触らない
4. 乾燥口と送風 床に乾燥口を開け、床下にサーキュレーターを入れて回す 根太・大引きを切らない。1階が10坪を超える家は乾燥口が3か所は必要
5. 消毒の検討 清掃と乾燥を終えてから、必要に応じて検討する 消石灰は目に入ると危険
6. 復旧工事 床や壁の張り替え、防蟻処理などを行う 乾燥と床・壁の変化が落ち着いてから決める

 

乾燥口とは、床下に風を送り込むために床に開ける穴です。

床下は基礎の立ち上がりで部屋ごとに区切られているため、乾燥口の数と位置によって乾き方が変わってきます。

工程の順番を入れ替えないことも大切です。

泥が残ったまま送風しても乾きにくく、乾ききる前に消毒や床の張り替えに進むと、後からカビや湿りが出る場合があります。

床下の状態を自分で確かめるのが難しい時や、どこに乾燥口を開ければよいか迷う時は、私たちハウジングボックスにご相談ください。

 

 

床下浸水の確認方法と、水がどこから入るか

床下浸水の入り口になりやすい、住宅の基礎に設けられた床下換気口

床下浸水の確認は、床下点検口などから水や泥の有無を見る作業です。

床上まで水が来なかった家では、室内に被害が見えないため、床下に水が入っていても気付きにくいものです。

外の水が引いたあとも基礎の内側に水や泥が残る場合があるため、浸水した地域では必ず床下を確かめましょう。

床下点検口・床下収納・畳の下からライトで確認する

床下をのぞける場所は、家の造りによってさまざまです。

多くの家では、キッチンや洗面所の床にある床下点検口や、床下収納の箱を持ち上げた下から床下が見えます。

和室では、畳を上げて下地の板(荒床)を外せば、床下を確認できる家もあります。

外から確かめる場合は、基礎の換気口にライトを当てて中をのぞきましょう。

場所ごとの見るポイントは、次のとおりです。

 

確認する場所 見るポイント
床下点検口・床下収納 水たまり、泥、基礎や束(床を支える短い柱)に残った水の線
畳の下 下地の板の湿り、カビ、においの強さ
基礎の換気口(外から) 換気口のまわりの泥、内側の水たまり
基礎の外側 外壁や基礎に残った泥水の跡の高さ

 

基礎の外側に残った泥水の跡が換気口より高い位置にあれば、換気口から床下に水が入った可能性が高いと考えられます。

床下には潜らず、のぞける範囲で確かめましょう。

床下は暗く狭い上、泥水には雑菌が含まれ、水を含んで落ちた断熱材やくぎでけがをするおそれもあるため注意が必要です。

水は基礎の換気口・配管まわり・基礎のすき間から入る

床下に水が入る経路は、基礎に設けられた開口部やすき間です。

  • 床下換気口:基礎に設けられた通気用の穴で、外の水位が換気口の高さを超えると水が流れ込みます
  • 基礎パッキンのすき間:換気口のない家では、基礎と土台の間に挟んだ部材のすき間で床下に空気を通しており、水も同じすき間から入ります
  • 配管の貫通部:給排水管が基礎を通る部分のすき間から入ります
  • 基礎の継ぎ目やひび割れ:ベタ基礎の底と立ち上がりの継ぎ目や、コンクリートのひび割れからしみ出す場合があります

入り口がいくつもある一方で、外の水が引いても、床下の水が同じ経路から出ていくとは限りません。

換気口より低い位置にたまった水は、ベタ基礎では基礎の内側に残り続けるため、水抜きが必要になります。

自宅の周辺で想定される浸水の深さは、市町村のハザードマップで確認できるため、換気口の高さと見比べておくと安心です。

〈関連コラム〉千葉県のハザードマップを確認しよう|災害リスクの調べ方と住まいの防災対策を解説

 

床下浸水の水抜きは、ベタ基礎と布基礎で進め方が変わる

床下浸水の水抜きは、ベタ基礎と布基礎で進め方が変わる

床下浸水の水抜きは、基礎の種類によって水の抜け方が変わる作業です。

住宅の基礎には、床下の地面全体をコンクリートで覆うベタ基礎と、壁の下にコンクリートの立ち上がりを設け、床下に土が見える布基礎があります。

床下点検口からのぞいた時に、底がコンクリートならベタ基礎、土やシートが見えれば布基礎の可能性が高いと考えられます。

ただし、布基礎でも土の上に薄いコンクリートを打っている家があるため、判断に迷う時は建てた会社や図面で確かめましょう。

基礎ごとの水抜きの違いは、次の表のとおりです。

 

項目 ベタ基礎 布基礎
床下の底 全面がコンクリート 土(シートを敷いた家もある)
入った水の行方 地面に抜けず、基礎の内側にたまる 土にしみ込むが、土質によっては抜けるのが遅い
水抜きのやり方 ポンプやバケツでくみ出し、スポンジや布で拭き取る 土にしみ込めば排水は不要。シートがある場合は穴を開けて土に水を逃がす
泥の扱い すべてかき出して拭き取る 元の土をできるだけ残して泥を取り除く
気を付ける点 拭き取りまで済ませないと乾きにくい 土が湿気を抱えるため、乾燥に時間がかかる

 

〈参考〉公益社団法人日本建築士会連合会「浸水被害住宅の技術対策マニュアル」(第二次改訂版、令和8年3月)第2章をもとに作成(日本建築士会連合会のウェブサイト TOP>連合会の活動>災害対応の取組情報>各県建築士会や関連団体策定の取組(地震災害関連)>1-3:「浸水被害住宅の技術対策マニュアル」(令和7年度改訂)【第2章 被災住宅の対応処置と応急復旧工事】)

 

ベタ基礎は水が地面に抜けないため、くみ出しが欠かせない

ベタ基礎の床下でも、水を抜き切れば送風で乾かせます。

ただし、底がコンクリートで覆われているため、入った水は地面にしみ込まず、自然には抜けません。

水が多い時はポンプやバケツでくみ出し、最後はスポンジや布で拭き取りましょう。

水たまりを残したまま送風すると、乾くまでに時間がかかる上、湿気がこもりやすくなります。

専門資料では、基礎の底に穴を開けて水や泥を出す方法も紹介されていますが、鉄筋の位置や後の補修に十分な注意が必要とされています。

基礎に穴を開ける作業は自分では行わず、専門業者に相談しましょう。

布基礎は土が水を含むため、乾燥に時間がかかる

布基礎の床下では、入った水が土にしみ込むため、水たまりが消えていれば排水は不要です。

ただし、粘土質の土では水がしみ込む速さが遅く、水たまりが長く残る場合があります。

土の上にビニールシートが敷かれている家では、シートにいくつか穴を開けて、水を土に逃がします。

泥を取り除く時は、元の土をできるだけ残すことが大切です。

元の土まで削ると床下の地面が低くなり、床を支える束が浮いてしまうおそれがあります。

水が引いたあとも土が湿気を抱え続けるため、布基礎は見た目より乾燥に時間がかかります。

泥と濡れた断熱材は、送風の前に取り除く

床下浸水で水を含み、床下に落ちたグラスウールの断熱材

送風の前に、床下に残った泥と、水を含んだ断熱材を取り除きましょう。

泥が残ったままでは、風を送っても乾きにくく、泥に含まれた雑菌もとどまります。

泥の除去は、バケツやスコップでかき出し、最後にスポンジや布で拭き取る流れです。

私たちが浸水後に伺ったお宅でも、床下の断熱材が水に濡れて落ちたり外れたりしている例が多く見られました。

グラスウールは本来軽い断熱材ですが、水を含むと重くなり、床下に落ちてしまいます。

取り除く時は、必ず軍手などを着け、素手で触らないようにしましょう。

グラスウールはガラス繊維を含むため、素手で触るとチクチクし、腕や体に付いた繊維を払おうとして痛みが出る場合があります。

発泡スチロールに似たウレタンフォームの断熱材は水を含みにくく、ずれている程度の場合が多く見られました。

専門資料の考え方では、グラスウールなどの繊維系の断熱材は乾きにくく再利用が難しいため、撤去が基本です。

発泡樹脂系の断熱材も、床材との間や材料の気泡に水が入り込み、カビの原因になる場合があります。

〈関連ページ〉床下の断熱材について

 

床下の乾燥口は複数か所に、構造材を切らずに開ける

床に開けた乾燥口から床下にサーキュレーターを入れ、浸水後の床下を乾燥させている様子

床下の乾燥口は、床下に風を通すために床へ開ける穴です。

床下浸水の乾燥では、床下点検口から送風機で風を送れば、床下全体に風が回ると思われがちです。

しかし、床下はひと続きの空間ではなく、基礎の立ち上がりで部屋ごとに区切られています。

広い家は、点検口からの送風だけでは風が回りきらない

住宅の基礎は、外周だけでなく部屋の間仕切りの下にも立ち上がりを設け、床下を区画ごとに仕切る造りです。

区画どうしの間には人が通るための開口部(人通口)がありますが、風は人通口を通り抜けにくく、送風した区画のまわりだけが先に乾きやすくなります。

当社がブログでもお伝えしてきたとおり、床下は人通口があっても風が循環しにくい構造で、1階の広さが10坪を超える家では、乾燥口が1か所では足りず、3か所は必要です。

〈関連ページ〉床上・床下浸水後の「床下の乾燥」について

10坪は約33㎡で、畳に換算すると約20畳の広さです。

2階建ての住宅でも、1階の床面積が10坪を超える家は珍しくありません。

乾燥口の数だけでなく位置によっても乾き方は変わってくるため、どの区画に風が届いていないかを見ながら、開ける場所を決めましょう。

根太・大引きを切らない位置に開ける

乾燥口を開ける時は、根太や大引き、構造用合板などの構造材を切らないことが基本です。

根太は床板を下から支える角材、大引きは根太をさらに下から支える太い角材で、どちらも床の重さを受け止める部材です。

構造材を切ってしまうと、床の補強や部材の交換が必要になり、後の復旧工事が大掛かりになります。

被災直後には、ボランティアの方が床に穴を開けているという話を、数件のお客さまから伺いました。

善意の手助けであっても、床下の構造を知らないまま穴を開けると構造材を傷めるおそれがあるため、開ける位置は建築の知識がある人と相談して決めましょう。

私たちハウジングボックスでは、大工が構造材の位置を確かめた上で、床に乾燥口を開ける作業に対応しています。

開けた乾燥口は、床を元に戻す時に床下点検口として残す方法もあり、専門資料でも床下点検口としての活用が勧められています。

〈参考〉公益社団法人日本建築士会連合会「浸水被害住宅の技術対策マニュアル」(第二次改訂版、令和8年3月)第2章をもとに作成(日本建築士会連合会のウェブサイト TOP>連合会の活動>災害対応の取組情報>各県建築士会や関連団体策定の取組(地震災害関連)>1-3:「浸水被害住宅の技術対策マニュアル」(令和7年度改訂)【第2章 被災住宅の対応処置と応急復旧工事】)

サーキュレーターは床下に入れ、止めずに回し続ける

サーキュレーターの置き場所は、床の上ではなく、乾燥口から入れた床下の区画の中です。

サーキュレーターを区画の中に置くことで、区画にこもった湿った空気を入れ替えやすくなります。

床下の乾燥に使う道具ごとの使いどころは、次のとおりです。

 

道具 使いどころ 気を付ける点
サーキュレーター・送風機 床下に入れて空気を動かす、乾燥の中心になる道具 区画ごとに置き、止めずに回し続ける
扇風機 家にあるもので代用できる 床下に入る大きさか、倒れないかを確かめる
除湿機 室内や床下の湿気を取る タンクの水を捨てる手間がかかる。空気を動かす役割はサーキュレーターに任せる
布団乾燥機 温風で狭い範囲を乾かす 長時間の連続使用は取扱説明書で確かめる
乾燥剤 収納など狭い場所の湿気を取る 広い床下全体を乾かすには力不足
消石灰 乾燥の目的では使わない 目に入ると危険で、専門資料でも勧められていない

 

床下や乾燥口のまわりに電気機器を置く時は、コードやコンセントが水や湿った泥に触れないよう注意しましょう。

被災した家に送風機を貸し出す自治体もあるため、手元に送風機がない時は、市町村の窓口に問い合わせる方法もあります。

床下の表面が乾いて見えても、木材や土の中には水分が残っている場合があるため、サーキュレーターは止めずに回し続けましょう。

 

床下浸水後のカビを防ぐため、乾燥は見た目で終えず送風を続ける

浸水したお宅のドア枠に出たカビ

床下浸水後のカビ対策は、床下の湿気が抜けるまで送風を続けることです。

床下浸水の後に出るカビは、浸水の直後よりも、時間がたってから見つかる場合があります。

床下の湿気が抜けないうちに送風を止めてしまうと、床や壁の表面が乾いて見えても、湿った空気が室内側へ上がり、カビが出やすい状態のままです。

消毒と拭き掃除の後に、時間がたってカビが出た例

床上浸水から1か月以上たって、フローリングの目地に出たカビ

当社が伺った床上浸水のお宅では、浸水から1か月以上たってフローリングの目地にカビがびっしりと出ていました。

カビが出たお宅は、被災直後に除菌を兼ねて床を拭き、以降も拭き掃除を何度も重ね、消毒も済ませていた家です。

当社では、床下の相対湿度がまだ高く、床下がカビの発生源になっていると考えています。

カビは相対湿度が60%を超えると出やすくなるため、床下に湿気が残っている間は、床の上を拭くだけでは防ぎきれない状態です。

カビが出る時期は予測が難しいため、床下からのサーキュレーター乾燥は、まだ止めずに続けてください。

〈関連ページ〉床上浸水後のカビについて

乾燥期間に決まった日数はなく、含水率やにおいで確かめる

床下の乾燥にかかる日数に、決まった基準はありません。

日本建築士会連合会のマニュアルによると、自然乾燥には2か月以上かかる場合があり、気温が下がる10月ごろからは2か月以上、完全に乾くまでには3か月ともいわれ、1年たっても乾燥が不十分な例もあるとされています。

乾き方は、季節や基礎の種類、土質によって大きく変わってくるため、日数だけで判断しないことが大切です。

乾き具合を確かめる目安として、マニュアルでは木材の含水率が挙げられています。
含水率とは、木材に含まれる水分の割合のことです。

含水率は含水率計という測定器で測れますが、市販の含水率計の多くは表面の値を測るもので、木材の内部までは測れない場合があります。

マニュアルでは、概ね25〜30%が乾燥の進み具合を知る参考値として挙げられており、木材の含水率が20%以下であれば腐朽が起きにくいとされています。

ただし、25〜30%はカビを防げることを保証する数値ではなく、においや変色、変形、触った感触なども合わせて、総合的に確かめる考え方です。

当社がブログでお伝えしてきた湿度の目安は、カビが出やすくなる相対湿度60%です。

マニュアルでも、相対湿度55%以下でカビの発生が大きく下がると示されています。

床下に温湿度計を置いて湿度の移り変わりを見ておくと、送風を続けるかどうかを考える材料になります。

〈参考〉公益社団法人日本建築士会連合会「浸水被害住宅の技術対策マニュアル」(第二次改訂版、令和8年3月)第2章をもとに作成(日本建築士会連合会のウェブサイト TOP>連合会の活動>災害対応の取組情報>各県建築士会や関連団体策定の取組(地震災害関連)>1-3:「浸水被害住宅の技術対策マニュアル」(令和7年度改訂)【第2章 被災住宅の対応処置と応急復旧工事】)

カビは押入れ・ドア枠・壁の中にも広がる

壁紙の表面には見えず、壁の中に出ていたカビ

床下浸水や床上浸水の後のカビは、床だけでなく、押入れやドア枠、壁の中にも出る場合があります。

当社が伺った浸水したお宅の多くでも、壁や床下にカビが出たり、合板フローリングが浮いたりする変化が見られました。

壁紙の表面や押入れに見えるカビは、カビ全体の一部です。

壁紙の表面にカビが見えていなくても、お客さまのご依頼で念のため壁の中を確かめたところ、壁の内部にカビが出ていた例もあります。

床上浸水した家では、壁の中の断熱材も水を含んでいる場合があり、確かめるには壁に穴を開ける必要があります。

壁の中のカビが見つかった時は、壁紙をはがして下地を確かめ、下地にもカビが出ていれば、全体を交換するか一部を交換するかを判断する流れです。

壁の中をどこまで確かめるかは、お客さまのお考えによります。

私たちは、次の表のような違いをお伝えした上で、お客さまに決めていただいています。

 

項目 壁の中を確かめる 壁の中を確かめない
分かること 壁の中の断熱材や下地のカビ・湿りを直接確かめられる 表面に出ているカビやにおいの範囲しか分からない
手間と費用 壁紙をはがす・壁に穴を開ける作業と、後の補修が必要 当面の工事や費用はかからない
後から起こりうること 撤去や交換の範囲を早めに決められる 時間がたってからカビやにおいが出た時に、改めて壁を開ける場合がある

 

床上まで浸水した家や、壁紙にしみや浮きが出ている家、においが続く家は、壁の中を確かめるかどうかを特に考えたい状況です。

専門資料では、水は毛細管現象で浸水した高さより上までしみ上がるとされているため、床上浸水した家では、水に浸かった高さより上の壁にも注意しましょう。

〈関連ページ〉浸水した床下や壁の中のカビについて

カビやにおいが気になる時や、壁の中まで確かめるかどうか迷う時は、お気軽にご相談ください。

 

 

 

床下浸水後の消毒は、清掃と乾燥を終えてから検討する

床下浸水後の消毒は、清掃と乾燥を終えてから検討する

床下の消毒は、泥の除去と乾燥を終えたあとに必要性を判断する工程です。

床下浸水の片付けでは、消毒を先に済ませたいと考えがちです。

しかし、泥や水が残った状態では薬剤の効果が出にくく、日本建築士会連合会のマニュアルでも、カビ防止を目的とした水溶性の薬剤は濡れた部分では効果が低いとされています。

床下など屋外の消毒は「原則不要」が国の考え方

厚生労働省の資料では、床下や庭などの屋外について、消毒は原則不要とされています。

資料には、感染症対策として「清掃と乾燥が最も重要です」と示されています。

日本建築士会連合会のマニュアルでも、床下などの消毒は乾燥していれば必要がない場合もあるとし、消毒の必要性や場所、回数は、排水後の床下の状況を見て判断する流れです。

浸水被害を受けた家を対象に、自治体が床下の消毒を行う場合もあります。

消毒をするかどうかは、床下の汚れやにおいの残り方によって変わってくるため、迷う時は専門業者に床下の状態を見てもらいましょう。

床下に消石灰をまく方法もありますが、厚生労働省の資料では、消石灰はアルカリ性で肌や目に触れると炎症を起こすとし、目に入った時はすぐに大量の水で洗い流して医療機関を受診するよう注意を促しています。

日本建築士会連合会のマニュアルでも、乾燥後に飛散して健康被害が出た報告があるとして、消石灰は勧められていません。

〈出典〉厚生労働省ホームページ「被災した家屋での感染症対策」

〈参考〉公益社団法人日本建築士会連合会「浸水被害住宅の技術対策マニュアル」(第二次改訂版、令和8年3月)第2章をもとに作成(日本建築士会連合会のウェブサイト TOP>連合会の活動>災害対応の取組情報>各県建築士会や関連団体策定の取組(地震災害関連)>1-3:「浸水被害住宅の技術対策マニュアル」(令和7年度改訂)【第2章 被災住宅の対応処置と応急復旧工事】)

乾燥後のシロアリ防蟻処理で木部を守る

シロアリは水を嫌うため、浸水したからといって、すぐにシロアリが出るわけではありません。

日本建築士会連合会のマニュアルでは、床下を十分に乾燥させた上で、防蟻剤による処理を行うよう勧めています。

〈参考〉公益社団法人日本建築士会連合会「浸水被害住宅の技術対策マニュアル」(第二次改訂版、令和8年3月)第2章をもとに作成(日本建築士会連合会のウェブサイト TOP>連合会の活動>災害対応の取組情報>各県建築士会や関連団体策定の取組(地震災害関連)>1-3:「浸水被害住宅の技術対策マニュアル」(令和7年度改訂)【第2章 被災住宅の対応処置と応急復旧工事】)

水が残ったままの木材は、長い目で見ると腐朽やシロアリ被害の原因にもなるため、乾燥を終えてから防蟻処理に進む流れです。

私たちのもとにも、床下浸水の後に床下の乾燥を経て防蟻処理を行ったお客さまから、次の口コミが届いています。

8/13夜の千葉豪雨で床下浸水となり、地元の信頼できそうな業者をと思いお願いしました。現調していただき「床下乾燥後に白蟻防蟻処理が必要」との提案をいただき、本日9/16に作業を実施いただきました。(後略)

〈出典〉Googleマップ口コミ

 

防蟻処理には薬剤を使うため、作業の前に、使う薬剤や作業の範囲、保証の内容について説明を受けておくと安心です。

私たちは、修繕・小工事のメニューとして、シロアリの防蟻薬剤散布にも対応しています。

〈関連ページ〉リフォームメニュー|修繕・小工事(住まいのレスキュー)

 

床の張り替えなどの復旧工事は、乾燥と変化が落ち着いてから決める

床上浸水の後、水を含んで波打ったフローリング

浸水後の復旧工事は、床や壁の変化が落ち着いてから範囲を決めます。

浸水した家では、傷んだ床や壁を早く直して元の暮らしに戻りたいと考えがちです。

ただし、床下が乾ききる前や、床や壁の状態が変わり続けている間に工事を決めると、後から直す範囲が広がる場合があります。

浸水後しばらくは、床や壁の状態が変わり続ける

浸水した床や壁は、水が引いたあともしばらく状態が変わり続けます。

状態が日増しに変わっていくため直し方の判断が難しい部分もあり、当社の方針は、変化が落ち着くのを待ってから状態に応じて判断することです。

床上30センチほど浸水したお宅に1週間ぶりに伺った際には、玄関を開けてすぐ、床のフローリングが波打っていることに気付きました。

浸水被害に遭ってから2週間ほどは、変化が続く可能性があります。

工事の範囲を決める時期は、床や壁の変化が落ち着き、床下の乾燥が進んだあとが目安です。

専門資料にも、床下が乾かないまま床を元に戻した結果、1年後に床の下地材が水分を含み、畳が湿ってしまった事例が紹介されています。

〈参考〉公益社団法人日本建築士会連合会「浸水被害住宅の技術対策マニュアル」(第二次改訂版、令和8年3月)第2章をもとに作成(日本建築士会連合会のウェブサイト TOP>連合会の活動>災害対応の取組情報>各県建築士会や関連団体策定の取組(地震災害関連)>1-3:「浸水被害住宅の技術対策マニュアル」(令和7年度改訂)【第2章 被災住宅の対応処置と応急復旧工事】)

乾ききる前に床をふさぐと、床下の湿気の逃げ場がなくなり、工事のやり直しにつながるおそれがあるため注意が必要です。

当社は、お客さまができるだけお金をかけずに元の生活に戻れることを大切にしたいと考えています。

直す範囲を見極める上でも、変化が落ち着くまで待つ時間には意味があります。

〈関連ページ〉床上より30センチほど水に浸かった家に行ってきました。

傷んだ床の張り替えや和室から洋室への変更を考える時は、工事内容ごとの費用の目安を知っておくと安心です。

訪問営業の「すぐ工事できます」には、即決で契約しない

浸水被害の後は、「すぐ工事できます」「床下を消毒しますよ」と声をかける訪問営業に注意しましょう。

日本建築士会連合会のマニュアルでも、被災時には不安をあおって高額な費用を請求する詐欺まがいの業者が訪問してくるとして、注意を呼びかけています。

初めて聞く社名の業者や、県外から来た業者に声をかけられた時は、訪問を受けた時点で契約や作業の依頼はせず、家族や地元で付き合いのある業者に相談してから決めましょう。

訪問販売で契約した場合は、契約書面を受け取った日から8日以内であれば、クーリング・オフで契約を解除できる場合があります(特定商取引法第9条)。

契約や勧誘に困った時は、消費者ホットライン「188」で最寄りの消費生活センターに相談できます。

〈関連コラム〉

リフォームの悪質業者の見分け方|手口・相談先・佐倉市での業者選びを解説

「リフォーム詐欺かも」と思ったら|契約前後の対処法と相談先まとめ

 

よくある質問

よくある質問

床下浸水の後の手続きや作業について、よくあるご質問にお答えします。

床下浸水でも罹災証明書はもらえる?

床下浸水の被害でも、罹災証明書は住家のある市町村に申請できます。

内閣府の「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」では、浸水の深さによる判定で、床下浸水は「準半壊に至らない(一部損壊)」に当たるとされています。

同じ指針では、片付けや修理で被害の様子を確かめにくい場合に、被災者から提供を受けた写真や聞き取りで損傷の状況を把握することも考えられるとしています。

片付けや乾燥を始める前に、浸水の跡や床下の様子を写真に残しておきましょう。

受けられる支援は被害の程度によって変わってくるため、申請の方法や期限は佐倉市の窓口や公式ページで確かめてください。

〈出典〉内閣府防災情報のページ>被災者支援>災害に係る住家の被害認定「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」(令和8年6月) 

床下浸水は火災保険の対象になる?

床下浸水の被害が火災保険で補償されるかは、水災補償が付いているかどうかと、契約ごとの支払い条件によって変わってきます。

水災補償は、台風や豪雨による洪水などで建物や家財に出た被害を補償するもので、多くの契約では、床上浸水や、地面から一定の高さを超える浸水などが支払いの条件になっています。

床下浸水だけでは条件に当てはまらない場合もあるため、まずは保険証券で水災補償の有無を確かめ、保険会社や代理店に問い合わせましょう。

「保険を使えば無料で直せる」と工事を勧める業者もいるため、保険の手続きと工事の契約は分けて考えることが大切です。

床下浸水は自然乾燥だけで乾く?

自然乾燥だけでは、床下が乾くまでに時間がかかり、乾ききらない場合もあります。

日本建築士会連合会のマニュアルによると、自然乾燥には2か月以上かかる場合があり、1年たっても乾燥が不十分な例も見られます。

ベタ基礎の床下は、たまった水が地面に抜けないため、水抜きが欠かせない造りです。

水抜きを済ませたあとは、乾燥口からサーキュレーターで床下に風を送ると、乾燥が進みやすくなります。

〈参考〉公益社団法人日本建築士会連合会「浸水被害住宅の技術対策マニュアル」(第二次改訂版、令和8年3月)第2章をもとに作成(日本建築士会連合会のウェブサイト TOP>連合会の活動>災害対応の取組情報>各県建築士会や関連団体策定の取組(地震災害関連)>1-3:「浸水被害住宅の技術対策マニュアル」(令和7年度改訂)【第2章 被災住宅の対応処置と応急復旧工事】)

ボランティアに床をはがす作業を頼んでもいい?

床をはがす作業は、ボランティアに頼める作業の1つです。

ボランティアにフローリングをはがしてもらえば、はがす作業と処分にかかる費用を抑えられるため、当社もお客さまの負担を抑える方法として、ボランティアの方々の力をお借りしています。

ただし、はがす範囲を決めずに作業すると、残すべき部分まで解体されてしまうおそれがある点に注意が必要です。

当社では、お客さまが依頼したボランティアの作業にできるだけ立ち会い、何をどこまで作業してもらうかをお伝えするようにしています。

リフォームから数年しかたっていない床で、ボランティアの方から「新しいのではがせない」と断られたお宅でも、お客さまから私たちの指示として伝えていただいたことで、作業を引き受けてもらえた例があります。

ボランティアに頼む前に、リフォームを任せる会社と、はがす範囲を相談しておくと安心です。

〈関連ページ〉ボランティアをフル活用させていただいております。

 

佐倉市で床下浸水のご相談をお考えの皆様へ

佐倉市で床下浸水のご相談をお考えの皆様へ

床下浸水の乾燥は、乾燥口と送風の続け方で乾き方が変わってきます。

床下は基礎の立ち上がりで部屋ごとに区切られているため、1階が10坪を超える家では、乾燥口が1か所では足りず、3か所は必要です。

乾燥口を開ける時は根太や大引きを切らず、サーキュレーターは床下に入れて、表面が乾いて見えても回し続けましょう。

消毒は清掃と乾燥を終えてから必要性を判断し、床の張り替えなどの復旧工事は、床や壁の変化が落ち着いてから範囲を決めると、やり直しや余計な費用を抑えやすくなります。

床下は自分では見えにくい場所のため、乾燥口の位置や乾き具合、壁の中まで確かめるかどうかは、床下の構造を知る専門家と一緒に確かめると安心です。

私たちハウジングボックスでは、2026年の千葉豪雨と台風25号で佐倉市内に冠水被害が出た際、相談窓口を設けて床下の点検や乾燥のご相談に対応しました。

床下の乾燥口の穴開けにも、大工が対応しています。

『ずっと安心PLUS』は、私たちがリフォームしたお客さまの住まいを工事後も見守るサービスで、台風や地震などの災害時の一次対応も無料の対象です。

〈関連ページ〉保証/アフターフォロー『ずっと安心PLUS』

被災後の復旧リフォームでは、打合せに十分な時間をかけられないお客さまも多く、私たちは時間をかけて補いながら、妥協せずに工事を仕上げることを大切にしています。

浸水の後床下の状態が気になる方、においやカビが心配な方は、いつでもお気軽にご相談ください。